初恋 二度目の恋…最後の恋
 会議室を出て高見主任の後をついて廊下を歩いていると、廊下の一番奥のドアの前で高見主任は立ち止まった。そこには『営業部営業一課』と書かれたプレートが嵌め込まれたドアがある。


 ここが私がこれから仕事する場所。


「もうみんな出勤していると思います。さ、ここですよ」



 高見主任はそういうと、営業一課と書かれたプレートの貼ってあるドアをサッと開けたのだった。中は思ったよりも広く、営業室の壁には天井まで棚が並び、大きめの机にはパソコンも完備してある。廊下の突き当たりということもあって、ドアを開いた目の前には大きな窓が並んでいてブラインド越しの光も明るい。


 コピー機からは何やら文書が吐き出され、資料が出来上がっていくし、ファックスも何枚も何枚も着信して、印刷を繰り返している。ファックスがこんなにも吐き出されるのを見たことはない。


「ちょっと待ってくださいね。少ししたら落ち着くと思うので」


「はい」



 営業一課の営業室では四人の男の人が忙しそうに働いていた。


 まだ、始業前なのに既に営業室内は戦場のようにヒートアップしていて、目の前にいる人はパソコンに向かい華麗に指を動かしながらも、左手には携帯を持って誰かと会話をしている。取引先なのだろう。明らかに英語以外の言葉が飛び交っている。


 ここが企業の最前線で、研究所と時間の流れさえも違うように感じた。


 高見主任と私が営業室内に入ると営業員は自分の仕事をしながらも視線だけはこちらを向けてくる。高見主任と私の姿は確認したけど、今は仕事を優先するかのように軽く目くばせをするだけで、彼らの動きは止まらなかった。


 
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