初恋 二度目の恋…最後の恋
 月曜日。火曜日。水曜日と時間は過ぎていく。そして、高見主任が帰ってきたのはその週の終わりで金曜日の夕方だった。営業室には私だけが残っていて、成果の上がった分のパソコンへの打ち込みをしていた。


 営業室のドアが開き、入ってきたのは一週間ぶりに会う高見主任で外国に行っていたとは思えないくらいに爽やかで…長いフライトでの疲れも感じさせない。でも、手にはスーツケースが持たれていた。


「坂上さんだけ?」


 入ってきた高見主任は営業室を見回しながら、自分の席に着く。スーツケースを持っているということは空港から直接出社したのだろうか?でも、今日まで出張なので、空港からマンションに直帰するものだと思っていた。でも、高見主任はここにいる。



「出張お疲れ様でした。折戸さんと柴田さんは得意先から直帰の予定です。北井さんと小林さんはそろそろ戻られると思います」


「ああ。そうか。空港から直接来たから本当に疲れた。でも、まあ、いい感じで契約出来たから報告とかは早めにしようかと思って」


 今月に入って高見主任の成績は既にグラフを突き破っている。今回のオーストラリアの契約でまたそのグラフを伸ばすことだろう。それにしても、高見主任の優秀さは目を見張る。



「お疲れ様です。コーヒーでいいですか?」


「ああ。貰おうか」


 コーヒーを淹れて、前に置くと、高見主任は香りを楽しんでから口を付ける。そして、フッと息を吐いた。

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