初恋 二度目の恋…最後の恋
「月締めですか?」


 研究所では聞いたことない言葉だった。研究所には結果を出すための目標となる日はあるけど、月締めとかはない。


「ああ。営業課には全員に目標がある。月締め前に個人としての目標は到達しているが、最後の追い込みをする。営業一課に到達しているからといって仕事の手を緩めてはならないんだ。今日はそんなに遅く帰ってこないだろうから、坂上さんの終業前には皆帰ってくると思う。

 申し訳ないけど、坂上さんは今日はとりあえず身の回りの整理をしてから、ゆっくりしていていい。本社の中にも慣れないといけないので、本社のどこに何があるのかを覚えておいて欲しい。私も取引先とのアポがあるので案内は出来ないのは申し訳ない」


 目標は達成しているのに、その上を目指すというのは…凄い。攻めの姿勢を崩さないのがここのやり方なのだろうか?


「いえ、大丈夫です。他に何かしておくことはありますか?」


「いや。特に。では時間あるので、申し訳ないけど出掛けます」



「はい。行ってらっしゃい」

「ああ。行ってきます。」



 そういうと高見主任まで営業室から出て行ってしまった。さっきまで活気に溢れていた営業室は火の消えたようになっている。



 転属第一日目。
 私は思いっきり放置されてしまった。




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