初恋 二度目の恋…最後の恋
 小林さんの部屋はたくさんのダンボールで溢れていた。とりあえず、業者の人が部屋に放り込んでそのままという感じ。独身の男の人の引っ越しなんてこんなものかもしれない。カーテンも着いてない部屋でダンボールの中に小林さんがいる。どこから手を付けようか迷うほどの段ボールの量だった。


「段ボール凄いですね」


「ああ。中にはいらないものも入っている。実は転勤が決まってから、あんまり時間がなかったから、とりあえず荷物を全部段ボールに詰め込んできたんだけど、まさか、部屋が段ボールで埋もれるくらいになるとは思わなかった」


 家具の配置は終わっているけど、ダンボールはそのまま。急がないと今の時間からだと絶対に終わらない。これは必死で働かないといけないと分かる。


「とにかく手伝います」


「ごめん。美羽ちゃん。この埋め合わせはするから」


「それは気にしないでいいです」


 私はとりあえずキッチンの方に向かうことにした。キッチン用品は私でも分かるけど、リビングなどに置く私物は自分で片付けたほうがいいだろう。それに服とかも触られたくない人もいるだろうし。


 私はキッチンと書いてある段ボールを持っていき、開けると、次々に洗って棚に片付けていく。鍋とかはそんなに数があるわけではないけど、それでも段ボールの箱にいくつかはある。それを順に片付けていくと、玄関にお風呂場に脱衣所と片付けていく。

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