初恋 二度目の恋…最後の恋

　白衣の下はいつも楽な服ばかりだった。シャツにジーンズなんかが定番で着やすさを動きやすさが全て。だから、スーツ姿は息苦しくて仕方ない。だからと言って、新しい服を買ってまで、着替えるわけにもいかない。


　今日は私の歓迎会。


　小林さんの優しさが有難いと思うけど、歓迎される立場の私がスーツを着てないと可笑しいと思う。


「ありがとうございます。大丈夫です」


「そう？でも、もしも苦しくなったらいつでも言ってね」


「足元にも気をつけて」


「ありがとうございます」


　中に入ってみて思ったのは外観よりも中の方が敷居の高さを感じる。店名に『小料理屋○○』とあるけど明らかに違う。


　明らかに私は背伸びが必要。これなら今日の昼の定食屋が落ち着くかもしれない。あの豚肉の生姜焼きは本当に美味しかった。


　今日は金曜日。明日は休みだから、ゆっくり出来る。そして、これも仕事の一環。そう思って時間を過ぎるのを待つしかない。


　そうは思っていても…。緊張してしまう。