初恋　二度目の恋…最後の恋
　案内されたのは六人が座って料理を楽しむのには十分の広さの部屋だった。木製の重厚なテーブルが置いてあり、すでに小鉢や刺身用のお皿などは用意してあり準備万端という状態だった。


「坂上さんはこっちね」


　そう折戸さんが言って指差した先は高見主任の前だった。上座に座った高見主任の前に私は座らされる。高見主任は営業室にいる時と全く変わりがない。

　飲み会の席でも自分を崩さないのだろうか？


　私の横には折戸さんが座っている。こんなに男の人ばかりに囲まれたことはなくて緊張はピーク。だけど、横には折戸さんがいるけど、その反対は誰も居ないので少しだけ気持ちは楽だった。


　慣れないスーツで慣れない正座をする私はまだ始まってもないのに早く終わらないかと思うほど…。緊張が止まらない。


「坂上さんはビールでいいの？」


　メニュー表を手に小林さんが私の顔を覗きこんでくる。いきなりだったので何も考えられず、ただ頷く。ビールは飲めないことはないけどそんなに好きじゃない。


　だけど、こんな場でオレンジジュースとかウーロン茶なんか言えない。


「うん。じゃあ、ビールね」


　そう言うと小林さんはニッコリと微笑んでから、注文をしに行っていた。

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