初恋 二度目の恋…最後の恋
 折戸さんの『坂上ちゃん』という言葉にドキッとした。男の人から愛称で呼ばれるのは初めてで、嫌かと言われるとそんなことは全くなくて…むしろ嬉しいとさえ思ってしまう。


 研究所から営業一課に転属してきた私は明らかに異種。それなのに私を受け入れてくれている気がした。


 何気ない言葉だったかもしれないけど、何となく私がここにいていいと言ってくれているようで嬉しい。折戸さんも小林さんと同じように優しい人なのだろう。


 折戸さんを見ると、その深い茶色の瞳に吸い込まれそうになる。折戸さんは穏やかな雰囲気を持ったとても大人で華やかさを持っている人だった。


「お気遣いありがとうございます。今、飲んでいるビールが終わったら、何か頂きます」


「好きなの頼んでね。自分で頼めなかったら、蒼空に言って」


「でも、申し訳ないです」


「ああ。蒼空は一番末席なんだから働かないといけないんだよ。それに、今日は坂上ちゃんの歓迎会だよ。蒼空もいいっていうと思うよ」


「でも、申し訳ないです。自分で自分のことくらいは出来ますので…。」


 折戸さんは私の方を優しく見つめると穏やかな光に満ちた瞳を向ける。


 端正な顔に真っ直ぐに見つめられると恥ずかしくなると同時に何をしていいか分からなくなる。


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