初恋 二度目の恋…最後の恋
「女の子は甘えていいんだよ。男は女の子に甘えて貰うと嬉しい。特に坂上ちゃんのように頑張っている女の子にも甘えて欲しいものだよ」


「でも…。」


「研究所から本社営業一課に転属なんて、不安だろうし、戸惑って当たり前。坂上ちゃんはわかんないことは遠慮なく聞けばいい。ウチの課はいい奴ばかりが集まっている。ここは高見主任が居る限りどこよりも仕事は厳しいけど、みんないい奴ばかりだから、何も不安になることはない」


 折戸さんの言葉に高見主任が頷く。


 ん?え?……え???


「折戸の言うとおり、俺の部下は優しく仕事が出来るものばかりだ。俺はそれに助けられている」



 高見主任はさっきまでは営業室に居た時と変わらなかったのに、お酒が入ると、少しきりっとした切れ長の瞳は潤んで色香を纏う。そんな引き込まれそうな瞳を私に向ける。手に持つグラスには透明な液体が揺れている。水じゃないのは明らかだ。


 目が逸らせない。


 なんて綺麗な人なんだろうと改めて思う。


 書き上げた漆黒の髪が艶めいて見え、ドキドキと心臓が速さを速めたような気がした。目が離せないくらいに高見主任は…色気を放出している。


 私の視線に気付いた折戸さんは耳元で優しく囁く。


「高見主任が日本酒を飲み出したら、適当に逃げた方がいいよ。酒を飲みながら語る高見主任は男も惚れそうなほどだから…坂上ちゃんなんて一発で落ちるよ」


「落ちる?」


「そう…免疫なかったら勘違いするよ」


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