初恋 二度目の恋…最後の恋
「潰されたんですか?」


「ああ、俺が新人の時。営業一課に配属されて緊張している俺を高見主任と折戸さんは優しい顔をして、美味しいからと口当たりのいいカクテルを勧めてくれて、で、実際に美味しくて飲んでたら、足が立たなくなった。それなのに、高見主任と折戸さんは二次会と言いつつ、俺を高見主任のマンションまで連れて行き、朝まで飲み会」


「なんか凄いですね」


「そう言いながらも、蒼空は楽しそうに飲んでいたじゃないか」


 そう言ったのは折戸さんで、小林さんのことが可愛くて仕方ないという顔をしている。折戸さんが優しいのは女の子だけではない。小林さんにもとっても優しい」


「半分自棄でした」


 そんな小林さんの言葉に、高見主任も折戸さんもとっても楽しそうに話を聞いていたのだった。



 この飲み会でわかったことは。


 高見主任はキラキラ殺人光線を放ち、折戸さんは過保護だけど、すぐにからかいたがる。柴田さんと北井さんは超古代文字のヲタク。今のお好みは象形文字。


 そして、小林さんは普段見れば素敵なのだろうけど、ここにいるとあまりにも周りが個性的過ぎて普通に見える。


 顔はみなさん綺麗で端正。スタイルもよく、均整のとれた体躯を持ち、サラサラヘヤで魅惑的。並ぶとイケメン揃いで恋愛経験のない私でも格好いいと思う。だけど、あまりにも個性的過ぎる。


 これからこの人たちと一緒に働いていくのを心配に思う私がいる。


 地味な研究所で働いていた私の迷い込んだ先は個性的な人の集まるエリート集団だった。


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