初恋 二度目の恋…最後の恋
「残念というよりは勿体ないという感じかな。坂上さんは自分のことを知らな過ぎるのかもしれないよ。別に男遊びをしろとは言わないが、もう少し目を外に向けてみるのも悪くない。男の考え方はシンプルで女とは違う。物事を色々な角度から見るのは大事だと思う」


「よく分かりません。でも、緊張してしまいます」


「ゆっくりでいいから、坂上さんはまず人慣れするところから始めたらいい。色々な考え方の人間に出会うことで人間の幅が出来る。働くなら大事なことだと思う。それに、これから一緒に仕事をしていく上で目が合うたびに反らされるのもちょっと淋しいかな。怖いとか嫌いとかある?」


「いえ。そんなことないです」


「それならいい」


 私は高見主任の話を聞きながら、自分に問い掛ける。人に触れ合うのを極力避けてきた私も、今では営業一課の一員。研究所と同じようにはいかないというのも分かっている。


 人付き合いが苦手だからと言って逃げるわけにはいかないというのも分かっている。


 でも…。最初から高見主任を始め人が羨むほどの容姿をした人たちととなると、やはり、私には荷が重い。営業補助の仕事をしっかりとやり遂げることが出来たなら、私は少しは成長できるのではないのだろうかと思う。


 そんなことを考えながら視線を上げると、さっきよりも優しい顔で微笑む高見主任の顔があって、その表情に少しだけ肩の力が緩む。


 高見主任なら…きっと私を仕事だけでなく色々な面で導いてくれるのではないかと思った。


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