初恋 二度目の恋…最後の恋
「何がそんなにおかしいのですか?」


「そんなに見つめられると顔に穴が開く。そんなに見なくても美味しいご飯をご馳走するから」


 そういわれて私は自分が高見主任に視線を奪われていたのを知る。急に恥ずかしくなって…視線を逸らすとまたクスクス笑いが漏れる。


「反応しすぎ。だけど。坂上さんらしいな。不器用だなとは思うけど」


「不器用ですか?」


「ああ。さすがに試験管の中の物体に心血を注いだだけあって、研究以外は小学生くらいで止まっているんじゃないのかと思うよ」


 高見主任はからかっただけなのかもしれないけど、それは思いっきり私の心を貫く。図星というのは痛いもの弾だと知る。実際に上司とはいえ、車の中に男の人と一緒にいるというのに緊張する。緊張しているけど、横にいる高見主任のさっきの営業トークのことを思いだし、つい、ぼーっと見つめていた。


「そうですね。多分、小学生で止まっています。だけど、それでいいんです。仕事が今の私の全てですから」


「上司としては頼もしい言葉だとは思うが、客観的に見るとかなり残念かもしれないな」


 残念な女というのは私も分かっている。でも、それを口に出して言わなくてもいいのにと思ってしまった。





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