初恋 二度目の恋…最後の恋
 おしゃれな折戸さんと普段着のままの小林さん。そして、今から図書館にでも行くかのような私。みんなバラバラだけど、何となくそれがしっくりくる気がする。


「坂上ちゃん。楽しんでる?俺と蒼空の馬鹿な会話に引いてない?」


「そんなことないです。とっても楽しいです」


「それならよかった。蒼空の戯言なんか流しておいていいから、あ、少し行った先にイタリアンレストランがあるから昼はそこでいいかな?前を通った時に気になっていたけど、まだ入ったことがないんだ。急にこっちの方に来たから店を調べてなくてごめん。でも、取引先の人が美味しいと言っていたから大丈夫だと思うよ」


 折戸さんは水族館に私を連れて行ってくれるつもりだったのに、急に行く当ての決まってないドライブに行くことになったのだから、店を調べてないのは当たり前。でも、折戸さんが気になるというからには素敵なお店なんだろうと想像する。


「ちょっと待ってくださいよ。俺、こんな格好でイタリアンレストランですか?」


 小林さんの姿はイタリアンレストランに行く様な姿ではない。折戸さんの言うレベルのイタリアンレストランはおしゃれな店に違いない。


 小林さんがTシャツにジーンズという普段着でイタリアンレストランに入るのに躊躇する気持ちも分かる。でも、ブックセンターから出て来たところを折戸さんと私に連れられて来られたのだから、仕方ない。


「じゃあ。俺と坂上ちゃんはイタリアンレストランで食事してくるから、蒼空は近くに牛丼屋にでも行ってくるか?海を見ながら牛丼も悪くないぞ」

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