強引男子にご用心!

資料保管室は2階廊下の突き当たり、相談ブースや備品倉庫など並んだ区画にある。

普段、相談ブースは使用されないから、滅多に人が来ることはないし、安心出来る場所でもあるけれど、その分掃除もしてないからホコリが酷い。

マスクと手袋をつけて、資料保管室のドアを開けた。

去年の仕入れ伝票の写しは、確か奥の棚にしまったはず。

と、行きかけて、

「きゃ……っ」

「うわっ」

躓いて、とっさに掴んだ棚。

不安定だった段ボールが落ちてくる音。

バサバサとこぼれるファイル。

それから目を丸くした磯村さんと、視線が合った。


「……あんた、本当に間が悪いな」


見ると一人。

崩れたファイルに埋もれて、磯村さんが剣呑な目になっていく。


「……貴方こそ、何してるんですか」

と、言うか、何故そこに座り込んでいたのでしょうか?

座り込んでなかったら、私だってこけなかったし、ファイルが落ちる事も……

もうもうと舞い上がるホコリ。

段ボールやらファイルが散乱している床からホコリが……


「あ。たんま。今気絶したら、身体触りまくるぞ」

それは嫌だ。


「なんでそれで持ち直すのかわかんねぇ」

私にはそんなことを宣う貴方が解らない。
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