偶々、
わたしから話しを振る前に、向こうから口を開く。
「寒いですよね?」
そう微笑む表情は冷えのせいか強張っている。驚いて、とっさのことに頭を縦に振るしかできないわたし。
距離を詰めるのに近づく足の運びが自然と速まる。
「ほんと、寒いですね」
やっと口に出来た言葉は当たり前の台詞で、マフラーに手袋と完全防備のわたしより、明らかに目の前でマフラーも手袋もしていない彼の方が寒いはず。
「遅れてて参っちゃいますね」
「遅れてるの知らなくて早目に着いてしまって、もっとゆっくり出てくれば良かったかも」
そう返したものの、時間ギリギリに着いていたならこうして彼と会話することもなかったのだろう。
「俺も同じです、混んでると思って早く出てきましたよ」
困り果てた顔が、失礼ながらもかわいいと思えてしまう。
「寒いですよね?」
そう微笑む表情は冷えのせいか強張っている。驚いて、とっさのことに頭を縦に振るしかできないわたし。
距離を詰めるのに近づく足の運びが自然と速まる。
「ほんと、寒いですね」
やっと口に出来た言葉は当たり前の台詞で、マフラーに手袋と完全防備のわたしより、明らかに目の前でマフラーも手袋もしていない彼の方が寒いはず。
「遅れてて参っちゃいますね」
「遅れてるの知らなくて早目に着いてしまって、もっとゆっくり出てくれば良かったかも」
そう返したものの、時間ギリギリに着いていたならこうして彼と会話することもなかったのだろう。
「俺も同じです、混んでると思って早く出てきましたよ」
困り果てた顔が、失礼ながらもかわいいと思えてしまう。