☆☆☆ 暴れキャンディ ☆☆☆

 「……」

 机に傷が付いていない。
 きっと大事に大事に使っていたのだろう。
 茶碗子の知る限り他の男子の机は酷いものだ。
 傷と落書きだらけである。
 だが箸矢の机は傷一つない。

 「……」
 
 茶碗子は寂しさに包まれた。
 きっと傷を付けるところが無かったのだろう。
 八つ当たりするところが無かったのだろう。
 八つ当たりの仕方を知らなかったのだろう。
 孤独の抱え方だけが巧くなってしまったのだろう。
 机に傷一つ付けられない箸矢が哀れに想えた。

 「……」

 茶碗子の机もまた傷一つ付いていない。
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