彼の正しい扱い方
岡本一弥という男


カチ、カチ、カチ・・・。


時計の時間を刻む音が教室に鳴り響く。


「はぁ・・・」


思わず、深いため息をつく。


「何、深いため息ついてんのさ」


前の席の親友、
相田智香が話しかけてきた。


「だって、こんな暑い中よく分からない
単語ばっか出てくる教科なんてやってらんないよ」


「希は化学大嫌いだもんね」


そう、今まさに化学の時間なのだ。


「そんな希と比べて、
周りの女子たちは嬉しそうに
化学の授業受けてますけど?」


そらそうでしょう。


だって、化学の担当は
あの岡本先生なのだから。


「なんで、あんな人気なわけ?」


「うーん、かっこいいからじゃない?」


確かに、かっこいいか
かっこよくないかと聞かれれば
すぐにかっこいいと言えるレベルだ。


だが、私は先生がかっこいいだろうが
嫌いな教科には授業を
真面目になど聞けないタイプなのだ。


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