妖恋慕ノ綴リ









私は両親の顔を知らない

声すら聞いたことがない




唯一、残っているものは

綾芽(あやめ)という名前だけ





この時代、身よりのない少女が一人

行き着く先は目に見えている






けれど運良くわたしは

子どものいない二人の夫婦に引き取られた







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