優*雪

セツ目線



皆と別れて、町を歩く

先ほどまで賑やかすぎたから、さみしい

自然と総司さんの手を強く握る


「セツさん…月!綺麗だよ!」


月は、もう見ない……

土方さんを思い出すから……


「総司さん!」

「うち、ここ!」

「へ? え? 近いね…… 」

「ふふっ 帰れるって言ったやろ?
お茶しよ!門限ないんやろ?」

「やったー!」

「ここはね、休憩用に借りてん」

「そうなんだ!」


二人でお茶を飲みながら話す

総司さんといるときは、何も気負いがない


「総司さん!セツって呼んで!」

「…セツ?」

どうして質問みたいなん

「総司!」 「セツ!」

ふははは!! 二人して、恥ずかしくて笑った!



どうして総司に恋しなかったんやろか…

総司の両頬に手を添える

総司のものになりたい……

うちなんて、いやだよね……


「セツ?」


総司に口づけをした

驚くよね……ごめんね

唇を離し、おでこ同士をくっつける

「総司……抱いて……?」

断られるやろな

「いいの?」

笑って頷く

「総司にセツをあげたいねん」


総司がうちを抱きしめる

あったかい

うちらが生きてる証拠

重なる唇、握り合う手と手、絡まる足

総司が着物を脱がせてくれる

お互いの肌が重なる

総司……ありがとう

何度も 好き って、愛してるって言ってくれてありがとう

いつも、味方で友達でいてくれてありがとう

恋仲のように手をつないでくれてありがとう



すべて受け入れてくれて、ありがとう



だから言わせて 「総司…好き」


恋とは違う好きだって知ってるくせに喜ぶ






セツを覚えてくれたかな…

総司、ありがとう





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