優*雪

土方目線

俺を庇って雪之介が刺された

「おい!」

俺の声が聞こえてない

「死ぬのはお前だよ」

雪が唸るような低い声で言う

自分の腹に刺さった刀を抜き取り、敵を斬る

まったく痛がりもせず


斬った後、微かに聞こえた


ふふっ 笑ってる?


忍の一人が怪我をして、雪がかわりに戦いに行く

刺されたはずなのに

次々と倒し、「くくっふふっ」

やっぱり笑っている…



「雪!! 出血がひどい! 動くな!」

「雪!!」

「やめろ!!」



新選組の仲間が声を掛けても、次々に敵を斬る




「殺す…」


雪が言わない言葉……


雪が消える

雪が壊れる

雪が死ぬ


俺たちは一斉に雪を止めるため飛びかかる


が……するりとかわされた


「雪!!俺たちがわかんねぇのか!?」

「その傷でそれ以上動くな!」

「私との約束忘れたの?」

「雪!!後は俺たちに任せてよ!!」



雪の動きが止まる

「約束して、俺が死んでも泣かないって」

なにいってんだ!?


「おい?」


「雪之介」


「雪?」


雪が面をずらして顔を出す


にこっ !!!


じっくり俺たちを見て


「後ろは任せたからね」


そう言ってまた笑い


敵の中に入る


いつの間にか両手に刀を持ち
二刀流になっている

腹から、凄い血がでているが
白髪は真っ白で、返り血を浴びることなく
次々、敵を殺す

やらなければやられる……


「皆!!死ぬんじゃねぇぞ!!!」


俺は、ありったけの大声を上げた


「「「「「「 おおぅ!! 」」」」」」


新選組の皆が、答える


後ろからくる敵を俺たちが止める
前からの敵を雪が止める

雪の動きが早く、凄いので手伝うどころか

近寄れない




前からの敵が減った


「土方さん!任せていい?」

「ああ!」


雪が屋根上に立つ


こんな時に思うことじゃないが

綺麗だ……








< 247 / 255 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop