優*雪

土方目線

敵を倒し終え、雪が倒れるのを抱きとめた


「雪?おい!しっかりしろ!」


俺は、必死に声を掛ける


弱々しい呼吸……いやだ!死ぬな!雪!!

皆も懸命に呼びかけるが、反応がない

面を外すと、青白い顔で無表情な雪


「雪…雪…雪…雪…」


夢中で名前を呼ぶが聞こえてない

雪の顔を撫でる

いやだ…いやだ…

体が恐怖で震える

自然と涙が流れる

俺を見て口をパクパクと動かす


「なぁっ…かっな……で……
はっ はっ ひっ……ぁっ……さ……」

〝泣かないで、土方さん〟


「そんなの無理だっ!駄目だ!逝くな!」


浅く短い呼吸…

痛みに顔を歪めることもなく


「ふふっ」


俺を見て幸せそうに笑う


周りのことなんか気にせず、口づけをした


生きてくれ!!


「雪…」


「ふふっ」

小さく笑う雪…
消えてしまわないように抱きしめる


「あっ…たか……」


お前だって、あったけぇよ…


「ひ……かた……さっ…」

〝土方さん〟

俺を呼んだ

「なんだ?雪…?」


「す……き……」

〝好き〟


聞き間違えじゃない、雪が俺を好きだと言った

「俺も!俺も、好きだ!」


雪の目にはもう何も写していなかった

瞬きも呼吸も止まって

ただ、幸せそうに微笑んでいた



「ゆっ……雪?」


優香の時とは違う。本当の死。
俺を庇い大量の出血、そのまま無理をした

信じたくないが、返り血を浴びていない雪の体がぐっしょり濡れている

すべて雪の血……


「ありがとな…」


瞼を閉じてやり、雪に口づけする


雪の分も、俺が生きてやる!!

雪のかわりに、俺が新選組を守ってやる!


雪…好きだ…やっと言えたのに……


また、いなくなるなんて……

本当に雪みたいだ

手のひらでとけて消える


皆、泣いてる


雪…お前は新選組にこんなに愛されている

知ってたか?


雪…


雪…



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