私を惚れさせて。私の虜になって。
朝の会が終わって、モリは椅子を持って、私の席にくる。

これが毎日のスタイルだ。

せーちゃんは後ろを向いて、3人でお喋り。

特に、心に残るわけでも、話さなくちゃいけないのかっていったらそうではないけど、

話しかけてくるんだから、しょうがない。

私からはほとんど話題を振らない。

3人でこうやって話すのも、もう少し。

だから、思い出作ろうとか、思わないんだ。

思い出って、ろくなことない。

だから、

「すがちゃん?」

「ん?」

「高校、何処狙ってんの?」

「んー…、公立なのは、確かかな」

「そっかー」

私から、せーちゃんはどこなの?とか、聞かない。

だって、どうでもいいし。

友達とか、いらないし。

「こーっちゃん!」

聞こえた声は教室の外から。

うえ…。

会いたくないやつだ。

< 10 / 489 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop