私を惚れさせて。私の虜になって。
「…ありがとう」

私を好きに、なってくれて。

でも、私は、

誰にも、なんの感情も入れない…って…。

「私も、好きだよ」

なぜか、止まらない。

涙も、想いも。

松木は、私の頭に手を置いて。

「親にほっぺた聞かれたら、なんて言い訳しよっか」

話をすり替える。

「階段から転げ落ちた」

「それにしちゃあ、他が無傷すぎんだろ」

「…大丈夫。考えとく」

なんだか、気まずくて。

「俺も考えとく」

「うん」

「…まー、遅いな」

「サボりすぎ」

「すがちゃん」

とっても小さな声で、私を呼んだ。

「ん?…っんっ」

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