私を惚れさせて。私の虜になって。
一瞬だけの、理解した頃にはもう終わっているキスをされて。

胸が、ドキドキしている。

松木の、照れている顔から、目が離せない。

「氷、ぬるくなったら変えろよ」

「…うん」

松木は少し離れたところに移動した。

少しして、まーくんが帰って来る。

「おせーよ。ばか」

「3本!」

誇らしげに、両手に3本のペットボトルを持つまーくん。

全部同じ炭酸水。

私が大っ嫌いなやつ。

「はい」

「…ありがと」

持って帰って、お母さんにでも飲ませよう。

ドヤァッと胸を張るまーくん。

「松木、変なのいる」

「まー、勉強ー」

そうして、授業が終わって1時間後、ようやく、自習が始まった。

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