私を惚れさせて。私の虜になって。
まだあまり人がいない教室。

松木とまーくんは話をしている。

「すがちゃん」

2人で話していればいいのに。

「ん?」

「俺もほしー」

松木が持っていたのはまーくんにあげたカイロ。

「えー?」

なんて、いいつつ、私の手はカバンに伸びている。

この前買ったばかりだから、たくさん入っている。

「はいよ」

袋のまま渡した。

「はい。お返し」

すぐに握らされたのは、飴。

「…どーも」

まーくんももらったらしく、もうそれを頬張っている。

…テスト始まるし、私は後にしとこっと。

「あ、俺時計忘れた」

「あ、俺も」

「はぁ?」

「すがちゃん、ある?」

「あるよー」

「じゃあー、……テスト始まって20分後と、終わる10分前に教えてよ」

松木はバカなことを言っている。

「どーやって?」

「まーの椅子蹴って。まーは俺に」

「おう」

「…はいはい」

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