私を惚れさせて。私の虜になって。
どっか、他の知らない街に連れて行かれたくない。

下に降りたら、何が待ってるんだろう。

誰も、おかえりなんて、言ってくれない。

もう、いいことなんて、あるの?

「ん」

折角、みんな喜んでるのに。

松木もまーくんも、嬉しいよね。

私のせいで、こんな暗い雰囲気になって。

「移動してるぞ!!!」

まーくんは元気よく立ち上がって、出口を指差す。

「行くか」

松木はだるそうに立った。

「立てるか?」

ただをこねる子供みたいに、何時までもここに粘ろうとする私。

「…うん」

差し出された手を借りて、立ち上がった。

< 247 / 489 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop