私を惚れさせて。私の虜になって。
嘘だ。嘘だ
だってさ、

下に降りたら、松木とまーくんは家に帰って、

私は、知らないおじさんに連れられてさ、

きっともう、会ったこともない親戚がいてさ、

泣きはらして、私を楽しく睨むんでしょ?

「どーしたんだよっ。帰れるんだからそんな顔すんなよっ」

肩、組まれてもなぁ。

「うん」

「……、なぁ、降りたら何しよっか」

声のトーンが低くなる。

「何って…。受験生のやることなんて、ひとつでしょ」

「終わったらだよ!俺焼肉行きてー」

「…うん」


「すがちゃんは?」

「どこにも行きたくないよ」

ずっと、ここに、居たい。


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