私を惚れさせて。私の虜になって。
「んー!疲れた!」

大きく伸びをして、

「飲みモン買ってくる」

財布を持って出て行ったのは、まーくん。

自習室は、松木と2人で静かになった。

「…なぁ」

沈黙を破ったのは、松木。

「ん?」

「さっきすがちゃんが塾長と話してる時、トイレ行ってさ、ちょっと話きいちゃったんだけど」

「…あぁ」

面倒くさいことをきかれた。

「気にしないでよ。」

大丈夫だから。

余計なおせっかいは、いらない。

「きにしないでってさー」

「いいの」

やめて。

その話、しないで。

「ん。気になるけど、まーいいや」

「そ」

こうやって、はぐらかしていけば、

きっと、話さなくても、済むんだ。


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