私を惚れさせて。私の虜になって。
手はすっかり離して。


「…おい」


やん、なっちゃう。


せっかくさ、せっかく、


「おい!」


「…何…?」


知らないフリできてたのに。


「……ちくしょう」


そんな声が真後ろから聞こえて、


「…えっ、何!?」


視界がぐるんって回って、気がつけば松木しか見えない。


「なんかあんなら、言えよ…」


逃げるとこなんて、ない。


だって、ベッドと松木で挟まれてる。


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