私を惚れさせて。私の虜になって。
「顔、赤い」


「人のこと言えない松木もな」


「黙ってろ」


またそうやって、私のこと抱きしめて。


「外、見えないじゃん」


「見たい?」


意地悪に、腕を緩められたら


「やだ。このままがいい」


はぁ。何で私、こんなに大好きなんだろ。

「もっと…」


「もうすぐ着くよ」



「…なんで」


なんで、こんなに早いの。


もっと、ゆっくり、回ってくれてもいいじゃん。


「また後でな」


すっと腕がなくなって、どうにも、寂しい。



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