心掻き乱れるほど恋い焦がれて
2




「お母さーん、私そろそろ帰るからね!」
「え?姉ちゃん泊まっていかないの?」
「うん。帰るよ?」

キッチンにいる母親に向かって叫ぶと、近くに座っていた妹の春奈が驚いた顔で私を見る。
次の瞬間にはその顔が、ニヤってちょっとだけ好奇心に彩られた。



「な、なによ」

赤ちゃんがハイハイするみたいにして近づいてきた春奈が、ズイッと私に顔を寄せる。



「翔ちゃんと一緒じゃないと眠れない、とか言う訳?」
「ちょ……何言ってんの?」
「翔ちゃんほんとカッコイイもんねぇ……あれ?でもさ、そういえば最近、翔ちゃんうち来ないね?どうしたの?」
「え?そう、だっけ…」
「そうだよ。あ、ほら…確かさ、ご飯食べに来た時にお父さんとお母さんが結婚がどうのこうのって話した事あったじゃん。覚えてる?」
「あー、うん。思い出した」
「あれからじゃない?来てないの……やっぱりさぁ、彼女の両親に突然結婚の話なんてされたら重いよねぇ…」

何気なく思いついたことを口にする春奈は、私の表情の変化なんかまるでお構いなしで喋り続ける。


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