あきらめない ~ 青空の下のマウンド ~

「あの…


そう言って一歩踏み出した時だった


草に引っかかって、身体が前に倒れそうになる


ドサッ


あー…


昨日もこけたのにまたこけちゃった…


・・・でも、全然痛くない…?


「いててて…… 山内さん大丈夫?」


そう声がして上を向くと、そこには永岡くんが私の下敷きになって倒れていた


「ご、ごめんなさい!!」


そう言って素早く起き上がり


「怪我してない?!」


と永岡くんに聞く


すると永岡くんは、ニコッと人懐っこい笑顔で笑って「大丈夫大丈夫!」と言った


ドキッ…


「・・・」


なに、これ…


胸がキュンってなって、少し苦しい


「・・・山内さん?やっぱどっか痛い?」


心配そうに私に聞く永岡くん


「う、ううん!全然!大丈夫!」


手を左右に何度も振りながらそう言うと、永岡くんは安心したように 良かった と言った


「永岡くん、優しいね」


私がそう言って笑うと、永岡くんは


「俺は優しくなんかないよ!」


と言って、どこか悲しさを感じさせる笑顔で笑った


「永岡くん…?」


心配になって名前を呼ぶと、永岡くんは普通の笑顔に戻って


「さ!練習するかな」


と、またコンクリートに向かってボールを投げ始めた

< 26 / 105 >

この作品をシェア

pagetop