あきらめない ~ 青空の下のマウンド ~

「・・・史花、帰るぞ」


史花の手を少し強引に引き、強く握りしめる


「わっ!啓痛いよ!」


「・・・」


「啓!」


「・・・」


「啓!!」


名前を呼ばれても、どう対応すればいいか分からない


このままだと全部吐き出してしまいそうで、関係が壊れそうで


すごく、怖い


史花が本当に永岡のこと好きになったかなんて分からないけど


小さい頃からずっと、俺が見たかった顔


それを永岡に向けてしたってことは



そういうことだろ…?



「・・・ごめん」


俺はそう言って史花の手を離した


「大丈夫だけど…どうしたの?」


「・・・なんでもない」


言いたい気持ちを抑えて、史花の顔をみないように黙って前を歩く


顔を見たら、言ってしまいそうになるから…


家に帰って自分の部屋へ行きベットに寝転がる


「なにやってんだ…なにやってんだよ俺…」


史花が誰を好きでも、俺に止める権利はなくて


だめだ なんて、言っちゃいけない

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