僕と三課と冷徹な天使

新歓

「で、どうだった?コオさん」

昼休みに屋上にいると、森本がとんできた。

「キス魔じゃなかったよ。」

「なんだ。反田部長、
 適当なこと言ったんだな。
 じゃ、どんなふうになるんだろ」

「うん、わからないけど、
 もういいかと思って。今日わかるし」

僕はすっきりした気持ちで言った。


吉田さんが朝から

「今日は新歓だからな、
 残業しないように仕事がんばろうな」

と張り切っているのを見て

「毎日がんばってほしいんだけどね~」

とコオさんは笑いながら言った。

月曜日の
トゲトゲした二人じゃなくなっていて
僕は安心した。

新歓を楽しもう、と心から思った。


乾杯の音頭を取る吉田さんは
めずらしく緊張していた。

コオさんが

「もういいから飲もう」

と茶々を入れる。

「なんだよ、コオはジンジャーエールかよ。
 最初の一杯がうまいのに」

と吉田さんがかえす。

「生ビールはいつ飲んでもおいしいから大丈夫」

と自信満々に言うコオさん。

やっと乾杯が終わって、
みんな飲み始める。

取り分けたサラダを食べながら

「生ハム~おいしい~」

と嬉しそうにコオさんが言う。

「こんないい店知ってるなんて、
 吉田さんの合コンも無駄じゃないんだ」

とあっこさんが言う。

「でもな、合コンで座敷は嫌がられるから
 もうこの店は使えないんだよ」

吉田さんが残念そうに言うと

「へ~」

とどうでもよさそうにコオさんが答える。

楽しそうで良かった。

一方で僕は、
コオさんと外でごはんを食べるのが
初めてなせいか、なんだか緊張していた。

コオさんがいるほうの左半身がこわばる。

いつも左側にいるのに。

いつもより近いからかな?

なんだろう、わからない。

・・・もういいや、飲んでしまえ。

みんなの話に適当に相槌を打ちながら
僕はどんどん飲んでしまう。

あっこさんが

「あ、この店、日本酒が豊富♪
 飲む人~」

と言ったので、調子に乗って

「はい!飲みたいです」

と返事をする僕。

「灰田、日本酒飲めるの?」

コオさんがちょっと心配そうに聞いてくれた。

「まあ、いいんじゃない?
 灰田君の歓迎会なんだし」

あっこさんが日本酒を頼む。

美味しい日本酒だったので、
またどんどん飲んでしまう。

楽しくなってきた。

「灰田、結構飲むんだね」

ってコオさんに言われたのは覚えている。

それ以上は覚えていなかった。
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