僕と三課と冷徹な天使

コオの家2

思いのほかビールをよく飲むコオさん。

新歓が憂鬱そうだったのは何だったんだろう?

「ごちそうさまー。おいしかった~」

やっぱり早食いだなあ。

思わず笑いながら食べていると、左側が重い。

見てみると、コオさんが寄りかかっている。

ん?

何が起きたのかわからない。

コオさんは僕の左腕にもたれかかって
ビールを飲みながらマンガを読んでいる。

何か目の錯覚かな?と思い
部屋のいたるところにある荷物を見て
気を紛らわそうとするが、

僕の左側にかかるコオさんの重みが現実に引き戻す。

そして、いつものコオさんのいい香り。

めまいがしそうだ・・・。

思いきって、聞いてみた。

「・・・コオさん、眠くなりました?」

「んーべつにー」

いつもと変わらない声だった。

静かな部屋に、僕のはやい鼓動と

コオさんの読むマンガの
ページをめくる音だけが聞こえる。

やばい。

このままでは死んでしまう。

「・・・コオさん、ちょっと片付けますね」

声をかけて、コオさんが離れた隙に立ち上がる。

キッチンで使った食器を洗う。

・・・さて、どうしよう。

僕の経験値では、この攻撃に対応できない。

帰る?

そんなことをしたら
二度とここには来られない気がする。

何か、何かできないだろうか。

考えながら、気づいたらシンクを磨き始めていた。

戻るに戻れない僕は、
そのままキッチンの掃除を続けた。

どれくらい掃除したのだろう。

「灰田、何やってるの?」

というコオさんの声で我に返った。

「あ、すみません・・・」

何となく謝ってしまう。

眠そうだったコオさんの目が大きくなった。

「何これ!めっちゃキレイになってる!」

ピカピカになったシンク、
片付いたキッチン周りを見てコオさんは言った。

「すごーい!ありがとう!」

喜んでくれるコオさん。

何とか、攻撃を防ぐことができた気がする。

「ケーキ買ってあるから、食べよう」

とコオさんは言って
冷蔵庫を開けてケーキを取り出した。

いつものコオさんだった。

僕は安心して
さっき洗ったばかりのお皿を
棚から取った。
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