鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~




 教室につくと、なんだかクラスはざわついていた。


 どうしたんだろ。


 自分の机に鞄を置き、隣の席の佐藤君に話しかける。



「どうしたの?


 なんか騒がしいけど、なんかあった?」


「ああ、なんかこのクラスに転校生が来るらしいぜ」


「転校生?こんな時期に?」


「変な時期に来るから、余計みんな騒いでいるんだ。


 あと、女子らしいぜ。


 どんなやつなのかな」




 彼は嬉しそうに言うと、登校してきた男子にこの話を自慢し始めた。


 女の子の、転校生・・・・・・。


 友達になりたいな~・・・・・・。


 というか、なんでみんなこんな情報知ってるんだろう。


 どこから仕入れてくるの?


 ガヤガヤしていたら、先生が入ってきて、みんなは渋々自分の席についた。


 そして、今か今かと先生と教室の前のドアを交互に見ている。


 あたしも少しだけ、ドキドキしながらドアを見つめた。



「え~、知っている人もいるだろうが、このクラスに転校生がくる。


 入ってきなさい」



「・・・・・・はい」



 おお、可愛い声。


 ・・・・・・聞いたことあるような。


 ガラガラとドアが開いて、教室に入ってきたのは・・・・・・。



「こんにちは。


 ナト・ジーンです。


 よろしくお願いしますっ!」



 な、ナトぉ~~!?


 な、なんでここに!

 
 というか、ナトってまだ小学生くらいだったはず、だよね?


 なのに、目の前にいるのは長身の美少女・・・・・・。



「彼女はハーフで、父親の仕事により、ここの学校に転入することになった」


 みんな先生の話なんて聞いてない。


 だって、目の前にいるのは藤色の髪を二つに縛り、赤紫色の瞳を輝かせている美少女なんだから。


 たぶんナトはその髪の色とかを隠すためにハーフとか言ってるけど、まず普通の人はそんなキレイな色の髪とかにはなりません!


 ゲームとかから出てきたキャラクターみたいだよ・・・・・・。


 ナトはこちらに気づくと、


「あ、りんりん!


 よろしく!」



「ぐえっ」



 人前にも関わらず、あたしに飛びついた。




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