鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~





「りん・・・・・・」



「・・・・・・なに」



 絖覇は、突然あたしの手を優しく包み込んだ。


 彼のキレイな、マゼンタの瞳を見上げる。



「りん、お前は、俺が必ず守る。


 だから、お前はお前のやりたいようにやれ」



「ッッ!!」



 彼のその言葉だけで、胸がいっぱいになってしまう。


 絖覇にそんなこと言われたら・・・・・・あたしはなんだってできる気がしてしまう。


 愛する人の言葉は、こんなにも、力を与えてくれるんだね。



「ありがとう・・・・・・絖覇」



──チュッ。



 あたしは、お礼として、彼の横顔にキスをした。


 そして、柔らかく微笑む。



「あたしも・・・・・・。


 あたしも、絖覇を守るよ」



 弱いあたしには、何もできないかもしれないけど。


 それでも、守ると誓うよ・・・・・・。



「・・・・・・ああ」



 彼は、優しく笑った。


 そして、フワリと羽根のような口づけを、あたしの唇に優しく落とした。






< 353 / 445 >

この作品をシェア

pagetop