鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~






「──それでは、みんな健闘を祈ります!


 ・・・・・・必ず、全員が生き残るの・・・・・・!」



 あたしの何よりの願い・・・・・・!


 あたしの言葉に、全員が強く頷いた。


 誰も、もう、失いたくない・・・・・・!



 みんなの顔を見渡すと、身体の奥の方から力が湧いてくる気がした。


 そして、みんなの頼もしい背中を、見送った。


 

 みんな・・・・・・頑張って・・・・・・!


 必ず、みんなとまた、笑いあって過ごしたいから。


 この世界で、みんなと幸せに生きていたいから。


 もちろん、ムギも、一緒に。


 だから、あたしは戦うよ。



 あたし自身が傷ついたとしても、みんなが笑いあって過ごすことができるなら。


 あたしは何事でも、あたしを差し出すだろう。


 それくらい、みんなが大好きだから。




 だから・・・・・・!



 ムギを、必ず助けてみせる・・・・・・!




 あたしは、無表情のまま、あたしたちを見下ろすムギを見つめた。



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