この恋、永遠に。
 何故ここに本宮さんがいるのか、彼がここにいるということは、ここは双子の自宅ではないはずで。じゃあいったいここはどこなのか?
 聞きたいことは山ほどあったが、とにかく気分が悪い。

「薬を持ってきたから飲むといい。少しは楽になるだろう」

 本宮さんがくい、と顎で指した先には、先ほど彼が持ってきたお水があった。よく見ると、隣に薬らしき錠剤も置いてある。

「顔が真っ青だ。薬を飲んだら楽になるまで少し横になるんだ」

 半ば強引にベッドまで連れていかれ、私はベッドの縁に腰を降ろした。
 本宮さんが二日酔いの薬を3錠取り出し、お水と一緒に渡してくれる。私はお礼を言ってそれを受け取ると、錠剤を口に含み水で流し込んだ。

「あの、ごめんなさい。どうしてこうなったのか…何だかすごくご迷惑をお掛けして…」

 私がここにいるいきさつは分からないが、今、本宮さんに迷惑を掛けていることは事実だ。
 こんなボサボサの髪で、化粧も落とさず寝た後の悲惨な顔を見られ、おまけに着ている服は皺だらけ。
 穴があったら入りたいというのは、こういうときの為の言葉なんだ、と私は項垂れた。

「知りたい?」

「えっ?」

 本宮さんが一歩詰め寄る。不意に腕が伸ばされ、私の体がビクリと反応した。
 が、彼の腕は私をすり抜け、サイドテーブルにあったボタンを押す。するとカーテンが自動で開き始めた。
 や、やだ…!
 まさかカーテンが自動で開くとは思っていなかったこともさることながら、徐々に明るくなっていく室内にうろたえる。こんな顔を明るい日の下に晒したくない。

 だが、ほっとしたことに、本宮さんはカーテンを半分ほど開けたところで止めてくれた。
 私の座っているベッドはまだ陰になっていることに、少し安堵する。

「教えてあげてもいいけど、それは後だな。もう少しだけ横になって休むといい。後で起こしにくるから安心して寝ていいよ」

 穏やかな声音でそう言った彼の顔は、とても優しそうに見えた。恥ずかしくて直視できなかったから、はっきりとは分からないけれど。
 彼は怒っていたはずなのに。だから連絡をくれなかったんじゃないの?
 ほら、と促され横になった私は素直に甘えることにした。気になることはいっぱいあるけれど、ひどい二日酔いで起きているのがつらい。

「…ごめんなさい、少しだけ」

「ああ」

 本宮さんの男らしい大きくて骨張った手が、私の髪を優しく梳いた。

「あの、ここは本宮…さんの家ですか?」

「そうだよ」

「……そうなんですね。すみません、ありがとうございます」
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