この恋、永遠に。
 ね?と笑って孝くんは私に同意を求めた。私は頷く。孝くんの話は本当だ。
 だが、柊二さんは依然険しい表情のままだ。

「…そんな話を信じるとでも?」

「そう言われても本当のことだからさ」

 孝くんは肩を竦めてみせると穏やかな笑みを浮かべたまま。柊二さんの鋭い眼光などまるで気にしていないようだ。

「俺とお前が親友で、お前の知り合いの美緒と俺が出会ったのも偶然?出来すぎていると思うのが普通だろう?」

「まあ、それに関しては、そうだね……。半分偶然、半分必然、かな」

 孝くんが再び肩を竦める。
 柊二さんと孝くんが親友…。意外な事実に私は言葉を失ったまま。
 偶然と必然。一体どういうことなの?
 柊二さんが大きく息を吐いた。

「お前、最初から分かってたな?あの夜お前が……」

 そのとき、無機質なコール音が聞こえた。どうやら孝くんの携帯が鳴っているらしい。
 柊二さんが忌々しそうに舌打ちをして孝くんを顎で促すと、孝くんは少し申し訳なさそうにしながらも電話に出た。そのまま私たちから数メートル離れて話し始める。
 寒空の下、取り残されたように二人の間に沈黙が落ちた。吐く息が白い。

「あの、柊二さん……、孝くんとはお友達だったんですね……」

 気まずい空気を何とか和ませようと私は半ば恐る恐る切り出す。
 柊二さんは電話で話す孝くんの方をじっと睨んだままだったが、私が話しかけると腕を掴んで軽く引っ張った。そのまま歩道の端、ショップの壁に沿うように私を立たせる。柊二さんも私の隣に立った。表情は険しいままだが、怒っている感じではない。

「ああ。高校のときからの付き合いだ。美緒こそ……驚いたよ」

「はい…。私もです」

 柊二さんが私を見下ろした。私の瞳をじっと覗き込んでいる。
 疑われているのだろうか?孝くんと十年ぶりに再会したことを?それとも、柊二さんと孝くんが友人であることを知らなかったことを?

「あの、孝くんがさっき言っていたことは……本当です。私がここにいたら声を掛けられて。最初は誰か分からなかったんですけど……孝くんとはさっき、本当に十年ぶりに会ったんです。……それと、柊二さんが孝くんと友人だってことも…さっき孝くんが柊二さんの名前を呼んで初めて知って…それで……」

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