この恋、永遠に。
 朝、目覚めると、柊二さんの姿はなかった。初めての満たされた時間を過ごした後で、彼が傍にいないことに、少し寂しさを覚える。
 昨夜のことは夢だったんじゃないか、とも考えたが、体に残る甘い痛みが夢ではないことを示していた。そしてシーツに残った赤い跡。私ははじめて彼に抱かれた。
 好きな人に抱かれることが、こんなにも幸せなことだとは思わなかった。柊二さんは最後まで私を優しく気遣ってくれた。

 彼が好き。とても、とても、好き。彼なら私の全てを包み込んでくれるに違いない。私も同じ大きさの、ううん、それよりもっと大きな愛で彼を受け止めたい。

 昨日までとは違う、まだ違和感を感じる体をなんとか起こす。脱ぎ捨てられていた服や下着は、綺麗に一人掛けソファの背に掛けられていた。柊二さんがやってくれたのだ。恥ずかしい。誰もいないのに思わず赤くなった顔を隠すように俯いた。

 すると、テーブルの上のメモに気がつく。そこには綺麗な字でメッセージが残されていた。
『美緒、おはよう。体は大丈夫?昨夜は無理をさせてしまったから、今日はゆっくり体を休めるといい。会社には有給休暇を申請しておく。鍵はドアポストの中へ。絆創膏ありがとう。柊二』
 私はメモを手に取ると、三回繰り返して読んだ。彼の綺麗な字からは、優しさが滲み出ている。朝起きたときに、彼の姿がなくて寂しく思ったけど、やはり彼はいつも私のことを考えてくれていたのだ。

 私はスマホを取り出すと、柊二さんにメールを送った。
『柊二さん、おはようございます。体は大丈夫です。会社もちゃんと行けますので、有給の申請はしていただかなくて大丈夫です。ありがとうございます。美緒』
 メールが送信完了になるのを見届けて、私は出勤の準備を始めた。


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