もう一度、あなたと…
お風呂から上がり髪を乾かし始めると、ひかるが顔を覗かせた。

「乾かしてやるよ」

ドライヤーを取り上げる。
気の向いた時だけ…と言うわりには、毎日のように乾かしてくれる。

「ひかるは髪を触るのが好きなのね…」

何気なくそう言うと、こんな返事が返ってきた。

「誰のでも…って訳じゃないぞ!エリカだからだ!」

優しく撫でる。気持ち良くなって目を閉じる。
指が髪の間を抜けていく。その感覚を楽しんでた。
先の方を乾かし始める。
その途端、背筋がビクついた。

「……あ…っ…」

ひかるの舌が首筋を這ってる。
唇が背中を伝ってく。
ゾクゾクするような感触がして、腰の力が抜けそうになった…。

「ひ、ひかる…!」

ぶるぶる震える手を握りしめた。
いきなりな彼の行動に、頭が追いついていかない…。

チュッ…と、肌を吸う音が聞こえる。肩や背中に、彼が跡を付けてる。

「…エリカは俺のだって印…」

首筋はさすがに避けてくれる。でも、肩口と背中に幾つも……


音を聞きながら、立っていられなくなった。
後ろから抱きしめられる。
さっき拒絶したから、もう触ってくれないかと思ってたのに…。

「いい匂いだ…」

吐息交じりの深い声がする…。
心臓の音がバクバク聞こえる。
こんなこと…26才のエリカはきっと何度も経験してる…。

「ひかる…」

振り返って名前を呼んだ。
唇を塞がれ、熱い舌が入ってくる。
なんだか頭がクラクラする。目眩がしそうで、目を開けていられない……。


「エリカ…?」

「たからがひかる」の声が遠くで聞こえる。

ううん、違う…。

これは…「宝田光琉」の声だーーーー


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