もう一度、あなたと…
季節を一回りして、鏡の前に立つ。
純白のドレスに身を包んだ自分が、とてもキレイだと自画自賛した。

「…似合うよ」

傍から声がする。
優しい表情のひかるが微笑んでる。
まるであの時と同じ。
私は今日、この人と永遠の愛を誓うーーー。




「花嫁さん、花婿さん、こちらにどうぞ」

式場関係者の声に振り向く。
彼が手を伸ばした先に指先を乗せ、ぎゅっと支えられた。

「不器用なんだから転ぶなよ」

笑う彼の言葉に胸が熱くなる。


……私はこの人との『もう一度…』を願った。

その願いが叶って、これ以上の幸せはないーーー。


「一緒に歩いてね…」

手を握り返して微笑んだ。
しっかり頷く彼とキスをする。


(もう一度、あなたと…)


心に決めて歩き出す。
私たちの未来は、今、始まったばかりーーーー

< 88 / 90 >

この作品をシェア

pagetop