俺様社長と秘密の契約
「…それでお前、なんて言ったと思う?」

「・・・・もちろん、断ったんですよね」

恐る恐るそう言うと、御堂社長はニヤッと笑った。

…イケメンのこの笑顔はある意味怖すぎる。


「その逆、お好きにどうぞって言った」

「・・・・よ、酔った人の言う事を鵜呑みにするのはいかがなものかと」

どうしてもそれは、白紙に戻さなければならない。


「その酔っぱらいの言う事をちゃんと聞いて、家まで送り届けたんだけどな?」

「・・・・」

「それに、俺はただの一滴も飲んでない、しらふだ。

だから、この契約は成立・・・わかった?」


わ!分かるわけがない。そんなの不成立に決まってる。


「そんなの無理に決まってるじゃないですか?!

私には、こ、・・・婚約者がいるんですから!」


…嘘八百もいい所だ。婚約者どころか、恋人すらいないのに。


「・・・だから?」

「・・・ぇ」


「俺にも婚約者がいるけど?」

…そうだ、御堂社長には、婚約者がいる。

会長が決めた、高瀬物産の令嬢と言う最高の婚約者が。


「あ、愛人になるつもりは、ありません」

「俺もそのつもりはない」

…売り言葉に買い言葉。

話しは平行線をたどっている・・・。

これではらちが明かない。
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