俺様社長と秘密の契約
「…何をやってるんだ、龍吾」
そう言って、デスクに項垂れたのは。

「…ご心配お掛けして、申し訳ありません、会長」

御堂コーポレーション会長、龍吾の父、御堂康介。康介は、呆れて溜息しか出なかった。大事な縁談を断り、あげく、取引停止。怒りなんて、当に通り過ぎてる。

「どうするつもりだ、龍吾?
高瀬物産は、うちの大事な取引先だぞ。
他の小企業ならまだいいが、相手が悪い

そう言って、また、溜息をついた。

「…この縁談話が持ち上がった時に、俺は直ぐに断ってくださいと頼んでおいたはずです。それなのに、勝手に話を進めたのは、どこの誰ですか?」

龍吾は、毅然とした態度で言い放った。

「龍吾には、その時、恋人も、好きな相手もいなかったじゃないか?」

「はぁ…これだから、会長はダメなんです。俺は確かに言いましたよ。想いを寄せてる人がいると…」

「…」
龍吾の言葉に、康介は目を見開き、だまりこんだ。だがそれは一瞬だけで、直ぐに口を開いた。
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