俺様社長と秘密の契約
「…悪いな、出社が遅れた」
秘書室のドアが開くと同時に、私に声をかけて来た社長。

「おはようございます、社長。会議の時間を1時間遅らせるよう、重役には連絡してあります」

「…全く、この忙しい時間帯に、呼び出す会長には困ったもんだ…理子」

「…はい、なんでしょうか?」
「…おいで」
「は⁈」
突然両手を広げた社長がそういった。私は真っ赤な顔で固まる。

「早く、時間がない」
「し…仕事中ですよ、そんな事」
目線を逸らして呟くが、社長はそんな事気にせず私を自分の腕の中に引き寄せた。

「し…社長」
「…充電中、黙ってろ」

「…社長、時間が」
「もう少し…」

「社長…前と、変わりました、よね」
そう呟けば、社長は私を見下ろして、不敵な笑みを浮かべた。

「…我慢するのは止めたんだ、抱きしめたい時は抱きしめる、キスしたい時はキスする、愛を囁きたい時はいくらでも囁く」

「///‼︎」
そのまま私にキスをした社長。
私は、ここが会社だと言う事を忘れそうになる。

トントン。
「…社長に会議の時間だとお伝え下さい」

「…!は、はい、わかりました」
抱きしめられたまま、咄嗟に答えた。
それをおかしそうに、クスクスと笑いながら私を見る社長。

恥ずかしさのあまり、顔を覆う。
そんな私に、社長は優しく髪にキスをした。

「お呼びだから、行ってくる」
そう告げると、私からゆっくりと離れ、秘書室を出て行った。

…こんな事毎日されたら、心臓に悪い。と、思わずにいられない。
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