俺様社長と秘密の契約
「高瀬専務に、聞きました」
理子の言葉に、目を見開く。

…伊織は、探偵を雇って、色んな情報を集めたのだろう。
オレが、神宮寺財閥が目当てと言えば、理子は俺への信頼を失う。

…そうすれば、理子は伊織の元に行くだろうと踏んだんだろうが。

…不幸中の幸いと言うべきか?
誤解は解け、善一郎と、理子も互いを認める事が出来た。


「…本当なら、龍吾さんを信用すべきだったのに、高瀬専務の言葉を信じたばかりに」
そう言って、理子はうな垂れた。

「…気にするな、誤解は解けたんだしな。
それに、高瀬も、上手い事言ったんだろう…理子が自分の言葉を信用するように。
・・・でもな、これからは、俺の言葉をもっと、信用してもらいたいな?
俺は理子に、何一つ嘘偽りは言わないから」

そう言って微笑めば、理子も少し微笑んで頷いて見せた。

「…あの」
「・・・ん?」


「お爺様とは、どこで知り合ったんですか?大人になってからの知り合いって感じに見えなかったから」
そう言って俺の方を見つめた理子。

「…神宮寺会長に出会ったのは俺がまだ小学生になりたての頃だ」

「?!そんなに前から?」

「あぁ」


…これ以上の事を言ったら、理子は驚くだろうか?
・・・驚かない方が無理な話だな。

そんな事を思いながら、次の言葉を発した。


「…俺がその時、凄く仲良くしていた女の子を、会長はこっそり見に来ていたんだ」

「…女の子って?」


「…お前だよ、理子。会長は、いつも影からお前を見てた」

「?!!」

俺の思った通り、理子は凄く驚いた顔をしていた。
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