俺様社長と秘密の契約
「ちょ、ちょっと待ってください・・・
それじゃあ、私と龍吾さんは、そんなに前に出会ってたんですか?」

「そうだ、会長は、俺だけにこっそり教えてくれたんだよ。
理子は自分の孫だって、理子のお爺さんだってな」


「…全然覚えてない」

…無理もない。

「それはそうだろうな、理子は突然引っ越すし、俺も私立の小学校に編入したばかりに、それ以降、ただの一度も会う事はなかったんだから」


「・・・それじゃあ、なんで」

困惑する理子の顔を見て、俺は困ったように笑った。


「何度目かに会った会長に、宣言したんだよ」
「・・・」


「…大きくなったら、理子をお嫁さんにくださいってな」
「なっ?!」


「会長は、俺が毎日、神宮寺邸に遊びに来たら考えてやってもいいそう言ってたよ」
「…お爺様が」


「…どんなに離れていても、俺は理子を忘れる事はなかった。
むしろ思いは深くなる一方だった。そんな俺に、会長は時々、理子の大きくなっていく写真を見せてくれた。
…理子に再会するまで、それなりに付き合いもしてみたが、理子以上の女は現れなかった」

俺の言葉に、理子は頬を染める。

「事務の経験もない理子を、秘書に押し上げるのには苦労した。
今までの秘書は、事務の経験が10年はしてる者しかなれなかったからな。

理子の両親が亡くなった時思ったんだ。

俺が理子を必ず幸せにしようって、そう思ったから、慣例を、すべて塗り替えた」


「…龍吾さん」
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