俺様社長と秘密の契約
神宮寺社長の条件に納得いかないまま、時間だけが過ぎていく。

…その事を、龍吾に打ち明けることも出来ない。

「…どうした?心ここに在らずって顔だな」
仕事中、龍吾が私に声をかけてきた。思いを悟られまいと、微笑んで見せる。

「ん?そうですか?仕事中だから、仕事の事を考えてたんだと思いますよ」
「…」

私の言葉に龍吾は黙ったままこちらを見つめる。…このままでは、何か悟られそうで、私は話しを逸らした。

「…それより、この件なんですが」
「…どれ?」

…なんとか、話しを逸らすことに、成功。私はホッと溜息をついた。

それから更に数日後、約束の日が来てしまった。

私は、重い足取りで神宮寺邸を目指す。
…龍吾に言い訳するのが大変だったが、なんとかここに、来ることが出来た。

「…すみません。遅くなりました」
先に来ていた神宮寺社長に頭を下げる。

…珍しく、神宮寺社長は笑顔で首を振った。
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