今はまだ、このままで。


三人は所謂、幼馴染、という間柄である。

同じマンションの同じフロア。
正確には、梨乃の家を間に挟んで右隣が涼二の家で、左隣が准一の家である。
梨乃と涼二が同学年で、一学年上の准一。

その関係図は高校生になった今も、幼い頃となんら変わりがなかった。



朝は家の前の廊下で待ち合わせ、帰りも用事がない限りは三人で一緒に岐路に着く。
誰が言い出した訳でも約束をした訳でもないのだが、それは当たり前に、暗黙の了解となって続いている。



だが実際は変化を望んでいないのは梨乃だけで、梨乃に想いを寄せている涼二と准一からしてみれば、少しでも相手を出し抜きたいと思っている。


それでも、梨乃の気持ちが分からない以上、下手に行動を起こして気まずくなって、その隙に…なんてことになったらと思うと踏ん切りもつかなくて、ズルズルと三人で仲良く、という図式に収まってしまっているのだった。



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