きみは、わたしの名前を呼んではくれない。


「ねえ、ミツキ。

他の女の子にそんなこと言われてるなんて知らなかった、ごめんね。 でも、今度なにか言われたら僕をちゃんと頼って。

今度は守ってみせるから」



ぎゅっと、わたしを包むその腕に少しだけ力がはいる。



「ミツキ、本当に本当に大好きだよ。 同情なんかでも、面白半分なんかでもない。 本当に大好きだ」



ねえ、コウくん。

その言葉は本当ですか。



「ときどきまた意地悪もしちゃうかもしれない。 だけど、それでもこれからは、そんなこと気にならないくらいに……ミツキが僕を呼んでくれてたみたいに。

何度だったきみの名前を呼んで、すきだって伝えてみせるよ」



だからね、ミツキ。

そう言って、苦しそうに笑ったきみを。



「僕の名前を呼ぶことを、やめようとしないでよ」



はじめてきみが贈ってくれた愛の言葉を。



ーーわたしは、信じてもいいのでしょうか。

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